皆さん、こんにちは。井上昌平です。
今回は、2025年7月にドバイ政府が導入した「ファーストタイムホームバイヤープログラム」(First Time Home Buyer Program)について、私の視点からお話しさせていただきたいと思います。このプログラム、実は世界の不動産市場の流れとは真逆を行く、非常に興味深い取り組みなんです。
なぜ今、このプログラムなのか?
まず背景からお話しします。ここ3〜4年、ドバイの不動産価格と賃料は右肩上がりで上昇を続けています。私も現地で多くのクライアントとお話しする中で、「家を買いたいけれど手が届かない」という声を頻繁に耳にするようになりました。
特に中間所得層や、これから資産形成を始めようとする若い世代にとって、住宅購入のハードルがかなり高くなってしまっていたのが現実です。
そこで登場したのが、この「ファーストタイムホームバイヤープログラム」なんです。
プログラムの中身を解剖してみる
対象者はこんな人たち
- UAEのビザを持っている方(国籍は問いません)
- ドバイで初めて家を買う方
- 購入予定の物件が500万AED(約2億円)以下
この条件設定、実によく考えられていると思います。真に住宅を必要としている居住者層にピンポイントで狙いを定めているんですね。
具体的な優遇内容が面白い
私が特に注目しているのは、以下の4つのメリットです:
1. オフプラン物件の割引(3〜5%程度) Emaar、Damac、Meraasといった大手デベロッパーが、政府の要請で価格を下げてくれるというもの。これ、デベロッパー側としても新しい顧客層を開拓できるメリットがあるんです。
2. 在庫への優先アクセス権 これが個人的にはかなり大きいと思っています。人気物件の抽選に参加する前に、1日早く情報が得られる。たった1日と思うかもしれませんが、ドバイの人気プロジェクトは本当にあっという間に完売してしまうので、この1日は貴重です。
3. 支払いスケジュールの柔軟化 通常は半年ごとに5〜10%ずつ支払うペースですが、これを1年〜1.5年に1回に伸ばせる可能性がある。キャッシュフローの管理がしやすくなりますね。
4. 中古物件への優遇 まだ詳細は発表されていませんが、住宅ローンの条件が良くなる可能性があります。これは今後要注目です。
世界とは真逆を行くドバイの戦略
ここからが今回の本題です。世界を見渡してみてください。
日本では新築物件の5年間保有義務が検討されている。シンガポールは外国人に物件価格の60%を追加で払わせている。カナダやオーストラリアに至っては外国人の購入を禁止している国もある。
つまり、世界中が「規制」で不動産市場をコントロールしようとしているんです。
でも、ドバイは違います。
「海外の投資家が買って値段が上がるなら、現地の住民も買えるようにすればいいじゃないか」
この発想、私は本当に素晴らしいと思います。問題を規制で解決するのではなく、機会を創出することで解決しようとしている。これはまさに「ベンチャー企業」的な発想ですよね。
ドバイ政府は決断が早い。何か問題があればすぐに改善する。このトライ&エラーのスピード感が、今回のような革新的な制度を生み出すんだと思います。
投資家の皆さんへのメッセージ
さて、このプログラムが投資家の皆さんにどんな影響を与えるか、私の見解をお伝えします。
2億円以下の物件市場が、ホットになる可能性が高い。
なぜか?ファーストタイムホームバイヤーがこの価格帯をターゲットにしてくるからです。つまり、リセール(再販)を考えている投資家の方にとって、2億円以下の物件を今のうちに仕込んでおくのは「非常に良いシナリオ」だと私は考えています。
需要が高まる前に先回りしておく。これが投資の基本ですからね。
注目の新プロジェクト情報
最後に、私が今注目しているプロジェクトをご紹介します。
ドバイサウスという、新しい空港ができるエリアで、エリントン(Ellington)というデベロッパーが初めてプロジェクトを立ち上げます。
このプロジェクト、価格がかなり魅力的になりそうで、かつ立地も将来性抜群です。詳細は8月上旬に発表予定ですので、私の公式LINEでも情報をシェアする予定です。
まとめ:ドバイが示す新しい可能性
今回のファーストタイムホームバイヤープログラムは、単なる住宅支援制度ではありません。これは、「規制ではなく支援で市場を健全化する」という、全く新しいアプローチの実験なんです。
世界が規制強化に向かう中で、ドバイだけが逆方向に舵を切った。この結果がどうなるか、私も注視しています。
でも一つ言えるのは、このような前向きな政策を打ち出せるドバイという都市の魅力が、また一段と高まったということです。
投資家の皆さんも、居住者の皆さんも、この新しい制度をうまく活用して、ドバイでの不動産取得を実現していただければと思います。
何かご質問やご相談がございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。
それでは、また次回のコラムでお会いしましょう。